出産祝いにオーガニックコットンを使ったベビー用品をプレゼントしたいと思ったことはありませんか?
しかし実際のところ、オーガニックコットンって本当に安全なのかわかりませんよね。
今回は、オーガニックコットンの基本となる「オーガニックコットンの意味」についてお話ししたいと思います。
「そもそもオーガニックコットンってなんだろう?」
「オーガニックコットンと普通のコットンの違いはあるの?」
「オーガニックコットンが肌にやさしいってホント?」
このような悩みを抱えている方にはぴったりの内容です。
1. オーガニックコットンの意味とは?
オーガニックコットンの意味とは、有機栽培で育てた「綿花(めんか)」になります。
有機栽培とは、農薬や化学肥料を使わない栽培方法です。
「綿花」はアオイ科ワタ属で「ワタの実」のことを意味します。
コットン(綿花)はタオルやTシャツなど、私たちの衣類の原料になります。
コットンを育てるにはさまざまな農薬や化学肥料を使います。
- 殺虫剤
コットンを害虫から守るため - 枯葉剤
効率よく収穫するため - 成長促進剤
生産力を上げるため
などなど。
発展途上国で使われる農薬の約50%がコットンの栽培に使われているほどです。
農薬や化学肥料は環境に対して大きな負担をかけるため、オーガニックコットンの生産は環境にとってとても大切なことなのです。
2. オーガニックコットンの表示基準
オーガニックコットンの表示基準は「オーガニック・コットン表示ガイドライン策定に係る調査」に書かれています。
このガイドラインは「独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)」が作りました。
中小機構が作ったオーガニックコットンガイドラインの定義です。
- コットンはタネを植える3年以上前から、農薬や化学肥料を使わない
- 「オーガニックコットン〇〇%使用」と正確な割合を表示する
- 遺伝子組み換え技術は使わない
- 第3者によって認証されたものであること
また、ガイドラインの罰則規定にはこのようにも書かれています。
■ 罰則規定
- 本ガイドラインは、あくまでオーガニックコットン製品の表示に関する方向性を示すためのガイドラインであることから、そもそも規則違反という概念が成立しないため、罰則規定は検討できない。
独立行政法人中小企業基盤整備機構 「オーガニック・コットン表示ガイドライン策定に係る調査」より引用
ガイドラインはあくまで「業界全体でオーガニックコットンの表示はこうしましょう」というものです。
そのため、表示違反は法律で取り締まることができません。
極端な話をいえば、農薬を使ったコットンのタオルを「オーガニックコットンタオル」と販売しても、法律では取り締まれないということです。
2-1. 表示違反は法律で取り締まれない!?
オーガニックコットンの表示は法律で取り締まることができません。
なぜなら、Tシャツやタオルなど衣類の管轄は経済産業省になるからです。
なぜ、経済産業省だと取り締まれないのでしょう?
それは、日本のオーガニック表示に関する法律は農林水産省によって定められているからです。
- 経済産業省 ⇒ 衣類
- 農林水産省 ⇒ 食べもの
と、取り扱っている品目が違うため、同じ法律では取り締まれないようです。
今後はオーガニックコットンに関する法律ができることを期待しましょう。
オーガニック、有機JASのことを詳しく知りたい方は、ぜひこちらをご覧ください。
「永久保存版!オーガニックの意味とは?…」
3. オーガニックコットンと普通のコットンの違い
オーガニックコットンと普通のコットンの違いは栽培方法です。
オーガニックコットンとは、有機栽培で育てられたコットンを意味します。
反対に、普通のコットンとは殺虫剤、枯葉剤、成長促進剤など、たくさんの農薬が使われています。
世界の農薬使用量の約7%はコットンの栽培に使われるほど。
また、殺虫剤だけで見ると、世界で約15%がコットンの栽培に使われています。
そのため、オーガニックコットンは、環境に負担をかけない社会づくりのためにとても必要なのです。
4. オーガニックコットンは肌にやさしい?
残念ながらオーガニックコットンが、肌にやさしい科学的な根拠はありません。
なぜなら、コットンは収穫して、加工や洗浄をするので、製品になるまでに農薬がほとんど残らないからです。
このことは、中小機構のオーガニックコットンガイドラインの一文にも書かれています。
このように農薬や化学肥料が使用されたコットンも栽培段階における生体浄化等による化学物質の分解や、収穫後の洗浄のため、化学物質の残量比較によるオーガニックコットンと通常コットンの違いを示すことは、現段階では、困難な状況となっている。従って、製品かのスタートラインにおいては、オーガニックコットンと通常コットンとの間には科学的分析による違いを示すことができないのである。
独立行政法人中小企業基盤整備機構 「オーガニック・コットン表示ガイドライン策定に係る調査」より引用
たまに、オーガニックコットンだから「アトピーが治る」「健康に良い」などを意味する表現の商品がありますよね。
先ほどもお話ししましたが、オーガニックコットンが科学的に安全である根拠はありません。
ぜひ、みなさまも表示には注意してくださいね。
5. オーガニックコットンと世界の話
オーガニックコットンは、世界のコットン栽培面積のたった1%しか生産されていません。
オーガニックコットンの生産量は、2009年の24万トンがピークです。
2014年は11万トンまで落ちて、生産量は今も減少傾向にあります。
これは、世界一のオーガニックコットン生産国であるインド市場が影響しているようです。
5-1 世界一の生産国
世界一のオーガニックコットン生産国はインドです。
暑く乾燥したインドは、コットンの栽培にとても適しています。
インドは世界のオーガニックコットン生産量の66%を占めているほど。(2014年時点)
しかし近年では、インドのオーガニックコットンの生産量が年間で13%も下がりました。
生産量が下がった理由は、
- 世界市場でコットンの価格が下がっていること
- 遺伝子組み換えコットンの疫病によって生産コストが上がったこと
などがあるようです。
結果、インドの農家はオーガニックコットンの栽培をやめて、普通のコットンの栽培に戻したり、他の作物を育てたりしているようです。
また世界で2番目は中国で11%、3番目のトルコは6%となります。
インド、中国、トルコの上位3カ国で全世界の85%を占めているようです。(2014年時点)
6. オーガニックコットンと環境問題
オーガニックコットンと環境問題はとても密接な関係です。
ここでは、オーガニックコットンに関係する、2つの大切な話をします。
6-1 健康被害
1つめは、普通のコットンと健康被害の話です。
普通のコットンには、農薬や化学肥料がたくさん使われています。
インドでは農薬による健康被害がとても深刻です。
普通のコットンの生産者は農薬を日常的に浴びることになります。
また、コットン畑の近くに住む子どもたちの生活水は、農薬に汚染された井戸水です。
そのため、コットン畑に関わる人たちは、皮膚病、ガンなどを発症してしまう患者が多くいます。
6-2 児童労働
2つめは、普通のコットンと児童労働のお話です。
国際労働機関(ILO)は、コットン畑で多くの子どもだちが働いていることを問題視しています。
コットン畑で働く子どもたちは、学校に通うことができません。
また、1日に約80円しかもらえないほど低い賃金です。
コットン畑で働く8才の女の子が、血液ガンになり亡くなってしまった例もあります。
オーガニックコットンは、農薬の汚染や児童労働を一切禁止しています。
地球を守るためにオーガニックコットンの普及はとても大切なことなのです。
まとめ
地球のため、子どもたちのために、オーガニックコットンの普及が大切であることをおわかりいただけましたでしょうか?
次回は、オーガニックコットンの選び方についてお話ししたいと思います。
その他、質問がありましたらお気軽にコメントしてください。
それでは。