最近「オーガニック〇〇」という言葉をよく聞きませんか?
オーガニック食品、オーガニックコスメ、オーガニックコットン、はたまたオーガニックハウス、オーガニックライフなどなど。
オーガニックの言葉はさまざまな意味で使われています。
オーガニックと聞けば、なんとなく「安全、安心、健康」なイメージがありますよね。
今回は、オーガニックの基本となる【オーガニックの意味】をお話します。
「オーガニックって本当に安全なのか?」
「オーガニックと無農薬の違いってなんだろう?」
「オーガニックを選ぶ基準が知りたい」
オーガニックの悩みを抱えている方にはぴったりの記事です。
1. オーガニックの意味や定義とは?
オーガニックの意味とは、農薬や化学肥料を使わず作物を育てることです。
「オーガニック」は「有機」と同じ意味で、環境に対して負担をかけない農業を意味します。
日本の法律で定められているオーガニックは
- 【有機農産物(ゆうきのうさんぶつ)】
- 【有機畜産物(ゆうきちくさんぶつ)】
- 【有機加工食品(ゆうきかこうしょくひん)】
- 【有機飼料(ゆうきしりょう)】
の4種類のみになります。 (2018年8月現在)
しかし、「オーガニックシャンプー」や「オーガニックコットン」など、食べもの以外でも「オーガニック」という言葉はたくさんの意味で使われていますね。
それは、私たちが「オーガニック=安心、安全」という意味で認識しているためです。
もともとは、
【オーガニック】→【環境に負担をかけない】→【農薬がついていない】→【安心、安全】
という意味です。
しかし「環境に負担をかけない」という意味があまり知られていないため、どの業界でも「オーガニック=安心、安全」という意味で使われているのです。
では、次にオーガニックがどのような言葉からできているか、オーガニックの語源を見ていきましょう。
1-1. オーガニック(organic)の語源
オーガニックの語源は、ギリシャ語の「organon(道具、器官、手段)」からきています。
これが「organ(内臓、器官)」になり「organic」となりました。
「organic」が「生命体の」という意味でも使われたことから、現在の「有機の、有機的な」という意味まで広がったようです。
「有機」とは「生活機能を持つ生命」を意味します。
簡単にいうと”生物(せいぶつ)”です。
「有機的」とは、「生物同士が結びついて、お互いに作用している様子」を意味します。
簡単にいうと”生物の共存“です。
つまり「オーガニック野菜、有機野菜」とは
”農薬や化学肥料を使わないことで、生物が共存し、環境に負担をかけない野菜”
を意味します。
2. オーガニックの目的とは?
オーガニックの目的は環境に負担をかけないことです。
環境とは、森、川、海、生き物など、地球に関わるすべてを意味します。
日本でオーガニックの基準を作ったのは農林水産省で、このオーガニックの基準を「有機JAS」といいます。
有機JASでは以下のように書かれています。
第2条 有機農産物は、次のいずれかに従い生産すること。
農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負担をできる限り低減した栽培管理方法を採用したほ場において生産すること
農林水産省「有機農産物の日本農林規格」目的 第2条より引用
少し分かりづらいですね。
簡単にまとめると、
“有機野菜の作りかたとは、農薬や化学肥料を使わないことで、自然の循環を大切にし、環境に負担をかけない方法である”
という意味です。
では、農薬や化学肥料は環境にどんな負担をかけてしまうのでしょうか?
2-1. ホッキョクグマも農薬の被害!?
2004年にホッキョクグマの体内から「有害化学物質(ゆうがいかがくぶっしつ)」が発見されました。
有害化学物質とは化学的に合成された物質の中でも、とくに毒性が強く、環境に残りやすい性質があるものを意味します。
有害化学物質は一度体内に取り込まれるとなかなか体外に排出されづらいため、食物連鎖の中でどんどん濃縮していきます。
食物連鎖とは、ミミズが落ち葉を食べ、カエルがミミズを食べ、ヘビがカエルを食べるといった、自然界において食べることと、食べられることの循環をいいます。
土で生きている植物プランクトンが有害化学物質の影響を受けて雨や風などで海へ流れると、魚プランクトンにも影響を与えます。
食物連鎖によって小さい魚から大きい魚へと海を渡ったことで、北極圏に生息するホッキョクグマの体内から、とても強い濃度の有害化学物質が発見されました。
このホッキョクグマには免疫力の低下や甲状腺ホルモンの異常が見られ、生態系に大きなダメージを与えてしまいました。
農薬や化学肥料は、私たち人間以外にも影響を与えてしまうことをぜひ知っておいてください。
3. オーガニックの8つの基準とは?
日本のオーガニックの基準は有機JASです。
有機JASとは日本のオーガニック食品の基準です。
世界のオーガニック基準である「Codex有機ガイドライン」をもとに農林水産省が定めました。
有機JASに認められたオーガニック食品は有機JASマークを貼ることができます。
有機JASは
- 有機農産物(ゆうきのうさんぶつ)
野菜、くだもの、お米など - 有機畜産物(ゆうきちくさんぶつ)
豚肉、牛乳、たまごなど - 有機加工食品(ゆうきかこうしょくひん)
お菓子、缶づめ、パスタなど - 有機飼料(ゆうきしりょう)
牧草、乳など、家畜のエサとなるもの
の4種類があります。
ここでは全てのもととなる、有機農産物の8つの基準についてお話しします。
3-1. 環境に負担をかけない生産
オーガニックは環境に負担をかけないで作物を育てることを目的としています。
そのため、化学的に合成された農薬や肥料は使うことができません。
農場がもともと持っている自然の力を活かし、循環させます。
3-2. 有機農場へ転換するための期間
有機農場へ転換するための期間は2〜3年です。
農場には農薬や化学肥料が残っている場合があります。
そのため、有機農場として認定を受けるためには一定期間を空けて、土を自然の状態に戻さなければなりません。
この期間を「転換期間(てんかんきかん)」といいます。
有機JASでは、タネや苗を植える2〜3年以上前から、農薬や化学肥料を使わないことで、土を自然の状態に戻します。
3-3. 農場の条件
有機農場は周辺からの対策も必要です。
農家さんは周辺から農薬や化学肥料が飛んできたり、流れてきたりしないように対策をしなければなりません。
周辺とは近隣農家やゴルフ場などが挙げられます。
3-4. 栽培の条件
栽培中は化学的に合成された農薬や肥料を使ってはいけません。
ただし、異常気象や病害虫の発生など、作物を育てることができないと判断される緊急の場合のみ、指定された天然由来の薬剤を使うことができます。
3-5. 土作り
土は有機農場で作られた作物の残りを使います。
また、周辺に生息するミミズや昆虫などによって作られる土を使い、自然の力を活かします。
3-6. 病害虫や雑草から守る
有機農場では作物を病気、害虫、雑草などから守るために、農薬や化学肥料を使ってはいけません。
そのため、以下の3つの方法があります。
- 耕種的防除(こうしゅてきぼうじょ)
病気の発生する季節を避けて栽培したり、抵抗性がある品種を育てたりする方法 - 物理的防除(ぶつりてきぼうじょ)
防虫ネットや、一つ一つ手作業で雑草を取りのぞくす方法 - 生物的防除(せいぶつてきぼうじょ)
病害虫が苦手な植物を植えたり、天敵を放ったりする方法
これらを組み合わせることで、作物を病害虫や雑草から守ります。
3-7. 全ての作業を管理
オーガニックは私たち消費者の手に届くまでの全ての作業において、農薬や化学肥料に汚染されないように管理します。
タネや苗を手に入れて、栽培→収穫→保管→包装→輸送まで。
全ての作業において農薬や化学肥料に汚染されないように記録します。
また、最低でも年に1回は登録認定機関の立入検査が入ります。
3-8. 遺伝子組み換え技術の禁止
作物に関わる全てにおいて、遺伝子組み換え技術は禁止されています。
なぜなら、遺伝子組み換え技術は安全性が確認されていないためです。
基準を満たし、第3者の認定を受けることで、商品に有機JASマークを貼ることができます。
4. オーガニックの選び方
オーガニック食品を選ぶ方法は、有機JASマークの有無を確認するだけです。
とても簡単ですね。
有機JASマークは、上に書いた8つの基準を満たさなければなりません。
そして、8つの基準を第3者が認定することによって、商品に有機JASマークを貼ることができます。
第3者とは登録認定機関(とうろくにんていきかん)です。
登録認定機関は有機事業者(ゆうきじぎょうしゃ)を認定する民間機関となります。
有機事業者とは、有機農家や有機食品の加工工場などをいいます。
登録認定機関は有機事業者は認定したあとも、年に1度は違反がないかをチェックしなければなりません。
また、登録認定機関もFAMIC(独立行政法人農林水産消費安全技術センター)に認定された機関でなければなりません。
有機JASマークは「 FAMIC → 登録認定機関 → 有機事業者 」といった、第3者の認定によって初めて成り立つものなのです。
5. オーガニックはなぜ高いのか?
オーガニックが高い理由は、作物を管理するのにコストがかかっているからです。
オーガニックの基準を見てもらってわかるように、一般の農業と比べるとさまざまな基準をクリアしなければなりません。
一般の農業では、農薬を使えば作物を害虫から守れます。
しかし、オーガニックでは害虫に対して、苦手な植物を植えたり、天敵を放ったりしなければなりません。
また、オーガニックは除草剤を使えないので、一つ一つ手作業で雑草を取りのぞきます。
ぜひ、この機会にオーガニックが高い理由を知っておいてくださいね。
6. オーガニックは安全?それとも危険?
オーガニック、有機JASで認められた商品はとても安全性が高いといえます。
なぜなら、有機JASは第3者の認定によって成り立っているからです。
オーガニックは農薬を使ってもいいから、無農薬の方が安全だと思われている方も多いのではないでしょうか?
オーガニックの基準を見てもらうとわかるように、オーガニックはタネや苗を植える2〜3年以上前から農薬や化学肥料を使ってはいけません。
栽培中も異常気象や病害虫の発生など、緊急を要する場合のみ指定された天然由来の薬剤を使うことができます。
オーガニックは私たち消費者の手に渡る全ての作業において管理されているので、とても安全性が高いといえます。
オーガニックのまとめ
オーガニックの意味はお分かりいただけたでしょうか?
オーガニックの意味、基準を知ることで、あなたのオーガニックライフに役立てれば幸いです。
それでは。