これだけ読めば大丈夫!有機JAS認定マークをわかりやすく解説

最近、スーパーでもよく見かけるようになった有機JASマーク。

あなたは、有機JASマークについてどこまで知っていますか?

今回は【有機JASマーク】について詳しくお話ししたいと思います。

「有機JASマークのルールを知りたい」
「有機JASは無農薬なの?」
「中国産なのに有機JAS?」

このような悩みをお持ちの方にもピッタリの内容です。

*基本的な“オーガニックの意味”について知りたい方は、下のリンクをご参照ください。

オーガニック、有機の意味とは?

1. 有機JASとは

有機JASとは、日本のオーガニック食品に関する法律です。

2001年に農林水産省が【有機JAS制度】を定め、日本のオーガニック食品に販売ルールができました。

有機JAS制度は、Codex(コーデックス)の【有機ガイドライン】をもとにルールが作られています。

コーデックスとは、1962年にFAO(国連食糧農業機構)とWHO(世界保健機構)によって設置された機関で【国際的な食品規格】を定めています。

2018年9月時点で、コーデックスの加盟国は、世界188カ国+EUとなり、世界共通の食品ルールを作ることで、自由な貿易と消費者の安全を守っています。

【有機JAS制度】は、世界共通のオーガニックルールで作られているので、安全性がとても高いのです。

1-1. 有機食品の種類

有機食品(オーガニック食品)とは、大きく3つに分けると

  1. 有機農産物(ゆうきのうさんぶつ)
    お米、野菜、きのこなど
  2. 有機畜産物(ゆうきちくさんぶつ)
    牛肉、たまご、乳など
  3. 有機加工食品(ゆうきかこうしょくひん)
    ケチャップ、パスタ、せんべいなど

があります。

有機JASは他にも、

  • 有機飼料(ゆうきしりょう)
    牧草、乳など

がありますが、有機飼料とは牛や鶏など家畜のエサをいい、食品ではありません。

商品に「有機〇〇」「オーガニック〇〇」と表示するには、有機JASマークを貼らなければなりません。

有機JASマークを貼れるのは登録認定機関(とうろくにんていきかん)に認定された生産者です。

認定がなく「有機トマト」「オーガニックパスタ」などの表示をして販売した場合

  • 個人
    1年以下の懲役、または100万円以下の罰金
  • 法人
    1億円以下の罰金

の罰則が与えられます。

では、有機JASマークを貼るためにはどうすればいいのでしょうか?

2. 有機JASマーク

有機JASマークは「太陽、雲、植物」をイメージしたマークです。

日本で「有機トマト」「オーガニックパスタ」などの表示をして販売するには有機JASマークを貼らなければなりません。

有機JASマークを貼るためには、生産者が「登録認定機関(とうろくにんていきかん)」に認定される必要があります。

有機JASマークの下に書かれている名称が、認定した登録認定機関です。

生産者は、有機JAS認定されたあとも、毎年検査を受けます。
もしも生産者が違反をした場合、登録認定機関は認定を取り消すことができます。

また登録認定機関も、農林水産省(FAMIC(農林水産消費安全技術センター))に認定されなければならず、その後も業務内容に違反がないか、FAMICに毎年検査されます。

もし、登録認定機関の業務内容に違反があった場合、FAMICは認定資格を剥奪することができます。
その場合、その登録認定機関によって認定された全ての生産者の認定が取り消されます。

このように有機JASマークは
【FAMIC → 登録認定機関 → 生産者】
といった、第3者が認定することによって、その安全性が保たれています。

3. 有機JASの基準

有機JASの基準は、環境に負担をかけない持続可能な生産です。

なぜなら、有機JASは【コーデックス有機ガイドライン】をもとに作られているからです。

以下は【コーデックス有機ガイドライン】の一部になります

緒言

5. 有機農業は、環境を支えるさまざまな手法の一つである。有機生産システムは、社会的、生態的及び経済的に持続可能な、最適な農業生態系の達成を目指す生産の明確で厳密な基準に基づいている。

コーデックス 「有機的に生産される食品の生産、加工、表示及び販売に係るガイドライン」より引用

では実際にどのような生産が、環境に負担をかけず持続可能なのか、それぞれオーガニック食品の基準についてお話しします。

3-1.【有機農産物】お米、野菜、きのこ

【有機農産物(ゆうきのうさんぶつ)】とは、オーガニックの作物を意味します。

例として、有機野菜、有機米、オーガニックフルーツなどがあります。

【有機農産物】の主なルールです。

  1. タネや苗を植える2〜3年以上前から、農薬や化学肥料を使わない
  2. 栽培中はもちろん、収穫したあとの保管や輸送も、農薬や化学肥料に汚染されてはならない
  3. 近くの農場からも農薬や化学肥料が飛んでこないようにしなければならない
  4. 遺伝子組み換え技術は使わない

なぜ、タネや苗を植える前から農薬を使ってはいけないのでしょうか?
それは、土に農薬が残っている場合があるからです。

作物は土から栄養をもらいます。
以前に使った農薬が土に残っていると、次に育てた作物は農薬を吸収する可能性があります。

しかし、土は農薬を分解することができます。

有機JASでは、土が農薬を分解する期間のことを「転換期間(てんかんきかん)」といい、これを「2〜3年以上」と定めています。

「2〜3年以上」となっているのは、育てる作物によって違うからです。

1度収穫しても、タネや苗を必要としないで再び育つ作物を「多年生(たねんせい)」といいます。
くだものやアスパラガスなどが例です。

多年生の場合、タネや苗を植える3年以上前から、農薬や化学肥料を使ってはいけません。

反対に、1度収穫したら、またタネや苗を植えなければならない作物を「一年生(いちねんせい)」といいます。
お米やジャガイモなどがこれにあたります。

一年生の場合、タネや苗を植える2年以上前から農薬や化学肥料を使ってはいけません。

3-2.【有機畜産物】牛肉、たまご、乳

【有機畜産物(ゆうきちくさんぶつ)】とは、オーガニックの畜産物を意味します。

例として、オーガニックビーフ、有機牛乳、オーガニック卵などがあります。

【有機畜産物】の主なルールです。

  1. 飼育小屋では、1頭、1羽あたりの飼育面積を確保する
  2. 有機で管理された野外の飼育場を確保し、放牧をすることで、ストレスを与えない
  3. エサは、有機飼料を与える
  4. 病気予防を目的として、抗生物質を使わない
  5. 輸送のとき、電気刺激や精神安定剤を使わない
  6. 遺伝子組み換え技術は使わない

飼育面積とは以下になります。

  • 牛(肉用) : 5m2
  • 牛(乳用) : 4m2
  • 鶏(肉用) : 0、1m2
  • 鶏(卵用) : 0、15m2
  • 馬 : 3m2
  • 豚 : 1、1m2

※1頭、1羽あたりの面積です。

なぜこれだけの飼育面積が必要なのでしょうか?
それは、狭いところで育てると家畜にストレスを与えてしまうからです。

一般的な家畜は、狭い小屋でギュウギュウになって育てられます。
ストレスを抱えた家畜は、病気になることも多いです。

有機JASは【アニマルウェルフェア(動物福祉)】を目的にしているので、飼育面積を確保したり、放牧したりすることで、家畜にストレスを与えないようにしています。

アニマルウェルフェアとは、動物の行動や欲求を尊重する世界的な取り組みです。
日本では、「アニマルウェルフェアフードコミュニティー(AWFC)」という団体が、アニマルウェルフェア畜産の普及活動をしています。
アニマルウェルフェアについて、もっと知りたい方はこちらのホームページをご覧ください。

AWFCのホームページ(http://awfc.jp/

3-3.【有機加工食品】ケチャップ、パスタ、せんべい

【有機加工食品(ゆうきかこうしょくひん)】とは、オーガニックの加工食品を意味します。

例として、オーガニックパスタ、有機醤油、オーガニックポテトチップスなどがあります。

【有機加工食品】の主なルールです。

  1. 化学的に作られた食品添加物はできるだけ使わない
  2. 原材料は95%以上が有機JASで認められた生産物(水と塩は除く)
  3. 原材料が同じ種類の場合(例えば2種類のトマトを使うなど)、有機と非有機を一緒に使ってはいけない
  4. 遺伝子組み替え技術は使わない
  5. 放射線照射されたものは使わない
  6. 製造から流通まで、すべての行程で禁止資材に汚染されない

なぜ、食品添加物はできるだけ使わないとなっているのでしょうか?
それは、加工食品を作るために、食品添加物が必要な場合があるからです。

【豆腐】と【オレンジジュース】を例にしてみましょう。

【豆腐】を作るためには「にがり」が必要です。
「にがり」とは「粗製海水塩化マグネシウム」のことで、食品添加物になります。

【有機豆腐】を作るには「にがり」という食品添加物が必要不可欠なため、使うことが認められています。

【オーガニックオレンジジュース】の原料は「オレンジ」です。
しかし、オレンジの香りをさらに付けるために「オレンジの香料」という食品添加物を使うことは認められません。

なぜなら、オレンジが原料のため“オレンジの香りが付いている”とみなされるからです。

つまり有機加工食品は、作るために食品添加物が必要な場合は使えますが、必要とみなされない場合は使えないということです。

4. 有機JASの表示方法

有機JASの表示方法は、有機JAS制度によって定められています。

有機JAS認定された生産者は、商品に有機JASマークを貼り「オーガニック〇〇」と表示することができます。

以下は、定められた表示方法です。

  1. 「有機農産物」
  2. 「有機栽培農産物」
  3. 「有機農産物〇〇」、または
    「〇〇(有機農産物)」
  4. 「有機栽培農産物〇〇」、または
    「〇〇(有機栽培)」
  5. 「有機栽培〇〇」、または
    「〇〇(有機栽培)」
  6. 「有機〇〇」、または
    「〇〇(有機)」
  7. 「オーガニック〇〇」、または
    「〇〇(オーガニック)」

※ 〇〇には「トマト」「米」「ケチャップ」などの品名が入ります。

簡単にまとめると、

  • 「有機」
  • 「有機栽培」
  • 「有機農産物」
  • 「オーガニック」

これらを組み合わせた表示をするように定められています。

4-1. 表示違反

日本の食品表示は、消費者庁の【食品表示法】によって定められています。
以下は表示違反の例です。

  • 無農薬〇〇、無化学肥料〇〇
  • 減農薬〇〇、減化学肥料〇〇
  • 低農薬〇〇、低化学肥料〇〇

なぜこれらが表示違反となるのでしょうか?

主な理由は「無農薬」と表示すると「残留農薬(ざんりゅうのうやく)」もないと誤解を与えてしまうからです。
残留農薬とは、作物に残る農薬のことをいいます。

有機JASは、栽培以外の全ての行程で管理がされているので、残留農薬の心配はほとんどいりません。

しかし、一般的な作物は以下のような場合で、農薬に汚染される可能性があります。

  1. 土に残っていた農薬を吸収してしまう
  2. 隣の農場が使った農薬が飛んできてしまう
  3. 収穫したあとに保管する倉庫で殺虫剤がまかれる

栽培中に農薬や化学肥料を使っていなくても、環境によって汚染する可能性があるので「無農薬」の表示は【食品表示法】によって禁止されています。

しかし、この「無農薬」の表示をよく見かけませんか?

なぜなら【食品表示法】は目の前にある商品に適用される法律だからです。

例えば、スーパー、八百屋、コンビニなど、商品が目の前にあり、手に取ることができる場所では「無農薬」の表示が禁止されています。

反対に、インターネット、新聞、チラシ、広告、通販カタログなど、商品が目の前にない場所は【食品表示法】が適用されないので「無農薬」の表示は禁止されていません。

インターネットや広告の表示は、法の穴をくぐり抜けていることをぜひ知っておいてくださいね。

また、「減農薬」「低農薬」も、日本で定められた定義がなく、生産者の判断になってしまうため禁止されています。

5. 有機JASの疑問

ここまで有機JASの基本をお話ししましたが、さまざまな疑問があると思います。
今回は、そのなかでも特に多い質問にお答えします。

5-1. 有機JASは無農薬?

有機JASでは農薬や化学肥料を基本的に使ってはいけません。

ただし、万が一の場合は指定された天然由来の農薬や肥料を使ってもいいことになっています。

万が一の場合とは、天災や病害虫の発生など、緊急を要する場合のことです。

有機農業は持続可能な生産を目的にしています。
万が一の時に何も対処ができなかったら、生産者は有機農業を続けられないですよね。

そのため、有機JASでは緊急の場合のみ指定された天然由来の農薬や肥料を使うことが認められています。

5-2. 中国産なのに有機JAS?

有機JASマークでも【中国産】のニンニクを見たことはありませんか?
認定は世界で行われているため、このような場合があります。

有機JASの認定は実地検査なので、登録認定機関が現地に行きます。
日本と同じように、土作りからタネ、栽培、収穫、保管、輸送と全ての行程において農薬や化学肥料に汚染されていないかを検査します。

また海外から作物を輸入するときは「植物検疫(しょくぶつけんえき)」が必ず行われます。
植物検疫とは、輸入した作物に病害虫が付いていないか検査をすることです。

植物検疫によって病害虫が発見された場合、輸入した作物すべてに「燻蒸(くんじょう)」をしなければなりません。
燻蒸とは、有毒ガスで虫を駆除する方法です。

燻蒸された作物に有機JASマークを貼ることができないことも、1つの基準です。

このように、外国産の有機JASマークも日本と同じように徹底された管理がされていることを知っておいてくださいね。

5-3. 転換期間も有機JASマーク?

有機JASマークが貼られている商品でも、たまに「転換期間中」と小さく書かれているものがあります。
これは、その作物が「転換期間中」の農場で作られたことを表しています。

有機JASは、土作りから始まり、農場に残っている農薬や化学肥料を分解するので、すぐに有機JASマークを貼ることができません。

しかし、農場の転換を始めて1年後に収穫した作物には、「転換期間中」と書いた有機JASマークを貼ることができます。

もちろん「転換期間中」の作物も、タネから栽培、収穫、保管、輸送すべてにおいて農薬や化学肥料が使われていないことが検査されています。

誤解しないでいただきたいのは「転換期間中」だからといって、農薬が残っているということではありません。

なぜなら、今まで農薬や化学肥料を使っていなかった生産者も、必ず2〜3年の期間を空けなければならないからです。

転換期間中の作物も、有機JASと同じ基準で作られていることを覚えておいてくださいね。

6. 有機JASと同等の制度を有する国

日本では、有機JASと同じ制度とみなす国が、世界6カ国+EUとなっています。

なぜ同じ制度とみなすかというと、世界各国も【コーデックス有機ガイドライン】をもとに基準が作られているからです。

以下は、日本と同じ制度とみなす国になります。

アメリカ、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、スイス、ニュージーランド、EU

※これらの国の政府機関その他これに準ずる機関が発行する証明書を持って、日本国内の登録認定機関に認定された輸入業者は当該輸入農林物資に有機JASマークを付することができる。(平成27年1月現在)

農林水産省 「JAS制度と同等の制度を有する国」より引用

これらの国で認定された場合、日本の登録認定機関の認定がなくても有機JASマークを貼ることができます。

例えば、アメリカのUSDA(アメリカのオーガニック基準)で認定されたトマトを、日本で「オーガニックトマト」と販売したい場合、本来ならアメリカの農場を検査しなければなりません。

しかしこの制度があると、USDAで認定されたトマトをそのまま輸入して、日本で「オーガニックトマト」と販売することができます。

同じ基準作られているのであれば二重の認定は必要ないため、このような制度があります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

有機JASマークの仕組みを知ることで、安心して選んでいただければ幸いです。

また、何かご質問があればお気軽にコメントしてください。

それでは。

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